アメリカン・ビューティー ★★★★☆

原題:American Beauty(1999)
監督:サム・メンデス
出演:ケヴィン・スペイシーアネット・ベニング、ゾーラ・バーチ


広告会社に勤務しているレスター(ケヴィン・スペイシー)と妻のキャロリン(アネット・ベニング)は冷えきった結婚生活を送っている。チアガールをしている娘のジェーン(ゾーラ・バーチ)は両親の事を馬鹿にしていて話もろくにしようとはしない。
そんなある日、娘が応援するのを見に行ったレスターは同じチアガールでジェーンの友達のアンジェラに恋をしてしまうが・・・。


どういうわけか、この作品好きなんですわ。
何故なんだろうと考えてみたのだが、多分レスターが開放されていくのを観るのが楽しいのだと思う。無理して我慢して、サラリーマンをするのをやめて、ファーストフードでアルバイトをして、好きな車を買って、娘の友達に恋をして・・・。
結局はああいうことになってしまうので、何ともいえないのだが、本人にしてみたら悔いはないだろう。


この作品はよく、家庭の崩壊を描いたとか、レスターのダメ父親ぶりを描いたとか書いてあるのを見かけるが、どれも違うような気がする。本人が感じたとおりに書けばよいのであって私が何を言ってもしょうがないのだが、この作品の中では始まったときからすでに家庭は崩壊しているし、レスターも全然ダメな父親じゃないだろう。ただ、好きになってしまった相手が娘の友達だったというだけの話だ。誰を好きになるかなんてわからないし、他人がそれを止める権利などないだろう。

じゃあ、この作品は何が言いたかったのかと考えると、正直なところ、わかったような、わからないようなという感じ。そのわからない加減と、ケヴィン・スペイシーの演技を見るために、また観ることになるのだろう。結果がわかっているのだが、私には何度も楽しめる作品なんだよな。自分でもすごく不思議。


この作品を見たスピルバーグは、涙を浮かべながら傑作だと言ったらしいが、そこまでではないにしても、見てみる価値はあるような気がする。そういえば、種類としてはid:h_machi:20050419(普通の人々)に、どこか通じるものがあるような気がする。世間一般の評価はあまり高くないようだが、私はすごく好きな作品。


この作品は第72回アカデミー賞で作品賞を受賞。ケヴィン・スペイシーは主演男優賞を受賞している。文句はございません。