デビル ★★★

原題:The Devil's Own (1997)
監督:アラン・J・パクラ
出演:ハリソン・フォードブラッド・ピット


IRAのフランシス(ブラッド・ピット)はアメリカにやってきて、IRAのシンパである判事の紹介により、警官のオミーラ(ハリソン・フォード)の家に住むことになる。ある時、武器商人に強盗に入られたオミーラはフランシスが何者であるのかと不審に思うようになり・・・。


観るのは二度目なんだが、なんともやり切れない感じが残る作品だった。
幼い頃、自分の目の前で父親が銃で殺される。それがきっかけになって、フランシスはIRAになるわけだが、これは仕方ないだろう。もし、全く同じ環境で、同じ立場だったらきっと私も同じ行動をとると思う。
フランシスと私の違いは、生まれ育った場所の違いだけだろう。もしフランシスが日本で生まれ育っていたとしたら、こうはなっていなかっただろう
だが、自分が父親の復讐のために誰かを殺してしまうと、相手側の残された家族も、自分と同じ事をするようになる。こうして負の連鎖が始まってしまうことは否めない。実際には負の連鎖はすでに存在していて、自分のところで鎖が断ち切れないということだが。
決して良いことではないし、犯罪だが、フランシスの気持ちは理解できる。一生この宿命を背負って生きていかないといけないわけで、心の安らぐときなどないのだろう。なんという哀しい人生なんだろう。
フランシスが言ったとおり、結局銃で人を殺すことになってしまい、オミーラもやりきれなかっただろう。


こういう作品を観ると、何でこうなってしまうんだろうと思うが、何の行動を起こすことが出来ない自分に直面し、哀しくなる。今この瞬間にも死んでしまう人がいるというのに。