コレクター ★★★☆☆

原題:The Collector (1965)
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:テレンス・スタンプサマンサ・エッガー


銀行員のフレディー(テレンス・スタンプ)は、人とうまく付き合うことができず、のけ者にされている。そんなフレディーの趣味は、蝶の標本を収集すること。ある日、スポーツクジで大金を手に入れたフレディーは、街から遠く離れた場所に地下室付きの一軒家を購入する。以前から一方的に思いを寄せていた女性を誘拐し・・・。


どういう展開になるのか、完全に予想できてしまうのだが、なかなか面白かった。この作品が作られた時代だと、この内容は結構ショッキングだったんじゃないだろうか。現在でも、このような事件は起きているし、娘を持つ親としては、とうてい容認できる内容ではないのだが、映画として観るには、まあいい。自分が女性の立場だったらと想像すると、この状況は恐怖以外の何物でもないな。何もかも、この男に掌握されていて、男の頭は悪くなく、性格も細かくてスキがない。タチが悪いったらありゃあしない。時間を掛けて体を鍛え、スキを見つけて逃げ出す以外に方法はない。私だったら耐えられそうもない。


フレディーは愚か者だな。まともに考えてもしょうがないのだが、フレディーの最終目的はこの女性と親しくなる事だったわけだろう(本人は結婚が最終形と考えていたかもしれないが)それなのに、こういう状況で二人が出会って、女性が自分に対して好意を持ってくれるはずがないだろう。頭は悪くないがこういうことは気が付かないのかね。あるいは、自分の溢れる気持ちを伝えれば、誘拐犯であっても、好意を持ってもらえると思ったのか。呆れてものが言えない。普通の人は、そんな事はわかっているから、ここに書いても意味はないんだが。


もし、この作品と同じ事をするということを考えている人がいたら、言っておきます。絶対にやめなさい、他に方法はあります。一生を棒に振ることになりますよ。


それにしても、この作品の監督が、あのローマの休日を監督した人と同一人物とはとても思えない。そういう意味では、すごい監督だと思う。